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新国立劇場バレエ「ライモンダ」全幕2004年10月17、22日
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月23日(土)01時15分43秒
>YOGOさん
お久しぶりです。
やはりモスクワ版が原典でしたか。ありがとうございます。
版の内容等、詳しいレスはまた後日いたします。
ウヴァーロフは踊りはさすがに美しくスケールも大きかったですが、アブデラクマンとの戦いはあまり迫力がありませんでした。
ザハロワはただ振り付けをなぞっているだけ。
手足が長いということがバレエにおいては最もどうでもいい要素なのだということが、今回の彼女を見るとはっきり分かります。
これを見た後では16日の吉田さんに対する「可もなく不可もなく」という評価は低すぎでしたね。
唯一感心したのは1幕のベールを持っての踊り。
踊りそのものではなくベールの扱い方が見事でした。
これは少々苦労している感じの吉田さんより鮮やか。
その吉田さんは22日の方が予想通り断然素晴らしい出来でした。
表情の豊かさも輝きも踊りの求心力も全く違っていました。
スティーフェルはまあまあ良かったですが、カーテンコールの時に後ろで手を組んでにこにこしている姿がアメリカの気のいい兄ちゃんにしか見えないのはちょっと。
彼の屈託の無さは古典バレエの世界とはやはりギャップがあります。
見るからに真面目で性格良さそうで決して嫌いではないですけど。
ところでまた振り付けが変わっていました。
1幕のワルツの再開のラストでライモンダはベランジェとベルナールに高々とリフトされておりました。
全体では残念ながら特に2幕が散漫な印象。
オーケストラがひどかったのが最大の原因です。
まともにリズムすら取れず、管楽器も3回中最低の出来。
真の初日である本日はせめて17日並には回復して欲しいものです。
新国立『ライモンダ』
投稿者:
YOGO
投稿日:2004年10月21日(木)23時48分54秒
清水さん、
大変長いご無沙汰で失礼しておりましたが、
今回の新国立『ライモンダ』への清水さんの書き込みを見て、久しぶりに投稿したくなりました。
特に、グラズノフの音楽への愛情はとても共感しましたし、
現行のCD3つの異同を明らかにされた点も、ボリショイ版を所有しない僕には有り難い内容でした。
>ということはいわゆる原典版と言えるのはマズルカを持たないモスクワ版だと考えられます。
とのご指摘、その通りだと思います。
僕は、ライプチヒのBelaieff(グラズノフのパトロンがつくった音楽出版社)が1898年に出版した『ライモンダ』のピアノ譜のコピーを持っていますが、それによれば、清水さんの推測の通り、マズルカ以外はモスクワ版のCDと一致します。
因みに、現行上演されているものと、このBelaieff版との主な相違を述べれば、
・1幕夢の場面の「Variation 3 (Allegretto9/8)」は、ヌレエフ版ではこの場面のジャンのヴァリアシオンとして使用されていますが、清水さんご指摘のように、『バレエの情景』のワルツが編曲されてここに挿入されライモンダのヴァリアシオンとして踊られている。
・2幕「 Danse Orientale (Andante 6/8)」は、Belaieff版ではライモンダのヴァリアシオンと記載されている。
・2幕 「Variation 3」は、現行版(ヌレエフ版、グレゴローヴィッチ版、新国立版)では、3幕のジャンのヴァリアシオンとして使用される。
・3幕Variation 1 (Prestissimo 2/46/8)に 2/4と6/8の二つ拍が記載されてある。
以上。
所で、新国立版は、牧のウェストモーランド版と近似しているとのご指摘がありましたが、
僕は残念ながら牧バレエ団のこの版を見ていませんので、どこが似ているのか、ご指摘頂けると有り難いです。
僕が、ヌレエフ版(パリオペラ座1984年版)、グレゴローヴィッチ版(モスクワボリショイ1986年版)と比較して、
新国立版で特徴的だと思ったのは、以下の点です。
・1幕冒頭で序曲をカットして、原曲2の「Scene1」から始めて、ライモンダ、ジャン、アブドラムの関係を説明するマイムを付ける。
・原曲19「Entree-acte」と 20 「2em Tableau Scene8 」を使用し、夢の場面のコール・ドゥ・バレエ及びライモンダとジャンのPDDを振り付けている。
4 Dame blancheは全く登場しない。
5 原曲1幕の27〜29をカットして、この場面でのアブドラムのライモンダへの求婚をカットしている。
6 3幕にPDDを付け足す。曲は第3幕の「Entre-acte」をこの場面に転用している。
これらの特徴はウェストモーランド版にもあった特徴なのでしょうか?
もし何か分かれば教えてください。
僕は初日(15日)と2日目(16日)に行ったのですが、
初日のザハロワは2幕のヴァリアシオン以外は、全く酷い出来でした。まるで「公開練習」のようでした。
2日目の吉田都、イーサン・スティーフェルを見て、初めて1幕、3幕のPDDの振付の意図を理解できました。
アブデラクマンは、初日のデューズリーがとても色気のある雰囲気を醸しだしていました。
その他、新国立バレエ団のダンサーに関しては、肝心の23,24日を見てからコメントしたいと思いますが、主役以外の各ヴァリアシオンは、皆頑張っていたと思います。
特に初日、3幕の遠藤睦子さんのヴァリアシオンは出色だったと思います。
オケ(エルマノ・フローリオ指揮東京フィル)も初日はゲネのようでしたが、
2日目特に特別な雰囲気の第3幕は、見違えるように良かったので、
23,24日もあの調子でやって欲しいものです。
それから今回の照明(沢田祐二)は、たいへん美しいライティングをしていると思います。
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訂正、補足
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月19日(火)00時39分37秒
初演のジャンがニコライ・レガットというのは誤りだったようです。セルゲイ・レガットが正解。
グラズノフの作品52「バレエ組曲」は「バレエの情景」というタイトルが一般的のようです。
ゴルスキーが追加したマズルカは第3曲。
1幕のライモンダのソロ曲として今回の牧版でも使用されるのは第7曲のワルツ。
しかしこれは前記の通りかなりの編曲がなされています。
マズルカはそのまま使用されています。
フェドートフによる録音はライナーを詳しく見たところやはりキーロフのプロダクションに準拠している可能性が高いようです。
レス
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月19日(火)00時37分58秒
>ととみねさん
あまり楽しめなかったようで残念でしたね。
音楽も振り付けもドラマ性に欠けるという評価は以前からあったようなので、それから考えると牧阿佐美さんの今回の版が特にその点でだめになったとは言えません。
全幕をレパートリーに持っているバレエ団が少ないもの上記の評価故でしょうか。
私は終止全く退屈せずに見られましたが、元々グラズノフの音楽自体が大好きだというのが大きな理由でしょう。
>牧さん曰く、
>「アブデラクマンの人物像をどのように設定するかが演出の鍵になると思いました。」
>その結果サラセンの端正な騎士として登場させたそうですが
>端正な騎士って感じだったかなぁ?
>しかも、鍵になるような人物設定をされた振り付けに見えなかったけどな。
これはまさにおっしゃる通り。
牧さんの意図は舞台からは全く伝わってきませんでした。
この点は私も非常に不満です。
振り付けそのものは私は非常に良いと思います。
極めて音楽的でシンプルでありながら単調に陥っていないというのは凄いことです。
しかし派手な振り付けを好む人には向かないかもしれません。
私の趣味にはぴったりなのですが。
(もっともこの振り付けのどこまでがプティパなのか、ウェストモーランドなのか、牧さんなのか、それともそれ以外の人物が関連しているかが判然としない)
唯一気に入らないのが2幕のライモンダのヴァリエーション。
あのトウで立ったままトントントンと移動していく振り付けがどうにも美しいとは思えず苦手なのです。
これは別のものにしてほしかった。
版についての詳細と17日の公演についてはまた後日。
それにしてもネット上で見ているとグリゴローヴィチ版好きの人たちが「登場人物の出方が違う」とかはては「タランダが出ない」と言って「楽しめなかった」と書いているのは正直ちょっと。。。。
彼の版に多くの美点があることは喜んで認めるのですが、これではますます私のグリゴローヴィチ嫌いが決定的になりそうです。
また、16日の吉田さんと17日のザハロワでは振り付けが明らかに異なるところがありました。
ライモンダの登場(最初ではなく伯爵夫人や友人達の踊りの後)
:吉田さんは花を拾いながら踊りましたが、ザハロワは拾いません。
1幕グラン・アダージョ
3幕ライモンダソロ
:ザハロワは明らかにボリショイ流。
端的に言っても以上の振り付けが違っていたと思います。
これは極めて重大な問題を含んでいますが、23日を見た後で判断します。
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新国のライモンダ
投稿者:
ととみね
投稿日:2004年10月17日(日)01時12分2秒
観に行った方、正直なところどうでした?
私は土曜日に観に行きました。
3幕のグランの他に
どこが面白いと思えばいいのかよくわからなかったです。
牧阿佐美さんは
どういった意図をもって
ライモンダを演出したのかなぁと・・・。
プティパのオリジナル版を見たことがないので
元振りから面白くなかったのか
牧さんが演出して面白くなくなったのか、わかりませんが・・。
牧さん曰く、
「アブデラクマンの人物像をどのように設定するかが演出の鍵になると思いました。」
その結果サラセンの端正な騎士として登場させたそうですが
端正な騎士って感じだったかなぁ?
しかも、鍵になるような人物設定をされた振り付けに見えなかったけどな。
観に行かれた方、
どう思われました?
しかし都さんのグランはすばらしかったですね。
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新国立劇場バレエ「ライモンダ」全幕2004年10月16日
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月17日(日)01時06分16秒
日付も変わってしまったので簡単に。
十分に高く評価できるプロダクションですが、最高とまでは評価出来ません。
基本的には牧阿佐美バレエ団のレパートリーであるウェストモーランド版を踏襲しています。
特に第3幕の構成と振り付けはほぼ完全に同版と同じです。
(細部については後日)
この版を新国立は第3幕のみ2001年に衣装も装置も振り付けも牧バレエと同じで上演していますが、それは私のとって同年ワースト公演となってしまったひどいものでした。
今回の全幕上演はどうだったでしょうか。
結論を言えば素晴らしい!!!
何が素晴らしかったか。
驚くべきことにキャラクター・ダンスです。
「公演の前に」と題して先に書いたものでキャラクター・ダンスの弱さに触れましたが、それを撤回できるのは涙が出るほどうれしい。
実際第3幕のチェルダッシュが終わった後に感激のあまり本当に泣きそうになりました。
これは私のひいき目ではありません。
4階席で見ていた私の周りの観客からも、このチェルダッシュの見事さにため息と「スゴ〜イ」という声が漏れていました。
リードペアは大和雅美さんと吉本泰久さん。
第2幕は芸人達、サラセン人、スペイン人とキャラクターダンスが3つ連続するのですが、これが全て実にいい。
サラセンは女性陣が大森結城さん、厚木三杏さん、川村真樹さんと名前を見ただけて凄そうなんですが、その通り、予想を遥かに超えてました。
男性陣も市川透さん、陳秀介さん、中村誠さんが迫力の踊り。
スペインはリードペアに男性4人が付く構成で、リードは遠藤睦子さん、奥田慎也さんでしたが、特に奥田さんが恐ろしいほどに良かった。
気迫といい勢いといい芝居っ気といい満点のスペインでした。
キャラクター・ダンスに対して極めて優秀な指導者が付いたことは明白と思われます。
とにかく残り全日程の制覇を目指すことは確定しました。
「ラ・バヤデール」初演時以来、いやそれ以上に興奮しております。
ゲストの吉田都さんとイーサン・スティーフェルは正直可もなく不可もなく。
全然悪くはないのですが、傑出しているとも言えない。
吉田さんはいつも通り端正、正確でしたが、良い時の吉田さんならそこから輝きが生まれてくるはずなのに残念ながらそうはなりませんでした。
ライモンダなら先のKバレエの時の方がはるかに優れた出来だったと思います。
同じく初役で新国立に出た「ラ・シルフィード」も初日は似たような出来だったものの、2回目はずっと良くなったので22日はもう少しよくなっていると思いますが。
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「ライモンダ」公演の前に(6)
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月15日(金)01時34分7秒
付記として各録音について一言。
ボリショイ版は古い録音にもかかわらず楽器の音がデジタル録音の他2版よりも生々しく収録されていて聴き応えがあります。
指揮も演奏も力強い(何しろボリショイ劇場)ですが、少し粗いところもあります。
キーロフ版は全体では随一の演奏内容。
グランドワルツの艶やかな美しさは他版を寄せ付けません。
ただしこれも意外なところで粗さを見せたりしています。
録音がデジタルにしては透明度と解像度に欠けますが悪くはありません。
モスクワ版は誰が聴いても特に不満を覚えることはない中庸の演奏。
シンフォニーオーケストラだけに他2版のような気になる粗さもそれほどありません。
これもキーロフ版と同じく録音がデジタルにしては低調です。
ナクソスレーベルなので手に入れやすさと価格ではこれが1番でしょう。
「ライモンダ」公演の前に(5)
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月15日(金)01時30分12秒
私の所有するグラズノフ「ライモンダ」全曲録音CDは以下の3つ。
1 エウゲニー・スヴェトラーノフ指揮
ボリショイ劇場オーケストラ(以下ボリショイ版)
(1961年録音)アナログ
MELODIYA
2 ヴィクトル・フェドートフ指揮
キーロフ劇場オーケストラ(以下キーロフ版)
(1995年録音)デジタル
CARLTON Classics
3 アレクサンドル・アニシモフ指揮
モスクワ交響楽団(以下モスクワ版)
(1995年録音)デジタル
NAXOS
これが全てCompleteBalletと表示しているにもかかわらず収録曲が一致していないという混乱ぶり。
ボリショイ版とモスクワ版の差はわずか1曲だけ。
ボリショイ版では第3幕にマズルカが挿入されているのです。
他は同一。
そしてボリショイ版のライナーにはこの曲は1900年のゴルスキーによるボリショイ劇場上演の際にグラズノフの「バレエ組曲」作品52から加えられたとあり、この録音はその時の版を基に収録されていると明記しています。
ということはいわゆる原典版と言えるのはマズルカを持たないモスクワ版だと考えられます。
そして収録時間だけとっても他版より15分近く短いキーロフ版は、おそらくセルゲイエフ版に基づいているのではないかと推測されます。
マズルカはそのまま3幕に存在。
マイム部分が中心となる1幕冒頭をばっさり削除。
すぐにライモンダの登場となります(音楽的にちょっと唐突です)。
1幕、夢の場面でヴァイオリンソロをフィーチャーしたライモンダのソロ曲はこのキーロフ版にしか収録されていません。
この曲もマズルカと同様にグラズノフの別作品からのもので、しかもこれはヴァイオリンソロ付きに編曲が施された後に使われています。
数多いヴァリエーション曲を始め数曲がカットされています。
復元版「眠り」を見ても分かる通り、プティパは初演時から当初の台本によって書かれた曲を大幅に変更、削除していた上に、セルゲイエフがこれまた信頼できない改訂者なのでキーロフ版の音楽構成がどの程度プティパ初演版を引き継いでいるかは不明です。
実際のセルゲイエフ版を見たことすらないのだからそれについては判断材料自体がない。
新国立の牧版はどの音楽構成を元にしているのでしょう。
原典版ならマズルカやヴァイオリンソロのヴァリエーションは入らない。
牧阿佐美バレエ団が持っているウェストモーランド版を考慮しているならば少なくともマズルカは入る可能性が高いです。
個人的にはこのマズルカが大嫌いなので入れてほしくないのですが。
牧さんの談話でアブデラフマン(アブデラーマン)を美しいサラセンの騎士に、というような話が伝わってきています。(実際に記事は読んでいませんが)
これに対して不満や不安がある人もいるようですが、初演時のキャストを考えればガンガン踊るキャラクターダンサー系列の同役のイメージそのものが誤っていること確実です。
初演者はプティパ/イワーノフ版「白鳥の湖」で王子をやった時点でベンノが補佐役に付いたというパーヴェル・ゲルトなんですからマイム役に決まっています。
だいいち女にしか興味のないプティパが主役を食うほどの男性役を創造するはずもない。
ちなみにライモンダはプティパ/イワーノフ版「白鳥の湖」の白鳥/黒鳥初演者のレニャーニ、ジャンは名高いダンスール・ノーブルのニコライ・レガットです。
要するにグリゴローヴィチ版やヌレエフ版のアブデラフマンは彼らが独自に膨らませた結果に過ぎないわけで、牧さんがそれらとは違ったアブデラフマンを創造することには何の問題もないと思いますね。
結果がどんな代物になるかは問題ですが。
ちなみに(くどいな)グリゴローヴィチ版の音楽構成も独特で興味深いです。
話自体も元々は幕が開いた時点で既に出征している設定のジャン・ド・ブリエンヌが出征直前へと変更されていて、生身のジャンと踊った後で別れを見せることでライモンダのジャンへの思いをずっと強い形で示すことに成功しています。
マズルカが使われていないのも面白い。
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「ライモンダ」公演の前に(4)
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月15日(金)01時25分31秒
ラ・ヴォーチェ公演
オペラ「ルチア」
ドニゼッティ作曲
8月7、8日
新国立劇場のオペラ劇場でオペラを見るは実はこれが初でした。
バレエ公演ならいやというほど行っているのに。
7日は日本人キャストでしたが、残念ながら近年見てきたオペラ公演の歌唱の質としてはレベルが低かった。
出口正子さんは既に声の美感が失われており、堀内康雄さんは極めて不調。
ロッシーニ「イタリアのトルコ人」「アルジェのイタリア女」と日本人キャストで大いに楽しませてもらっただけに残念でした。
ところが8日の海外キャストのそれよりも公演から受けた感銘度は7日の方がはるかに高いという不思議な結果となりました。
海外キャストも私が見た日はそれほどの出来ではなかったということもあります。
それでもマリエッラ・デヴィーアはかつてほどではないとしても声の美感は出口さんよりはありましたし、レナート・ブルゾンは不調の堀内さんよりは優れていました。
それなのに7日の方が良かったという印象になったのは「ルチア」全幕を初めて生で聴いたという感動があったことや聴いた席が7日の方が良い席だったということも原因でしょう。
またなぜか他の日にはあった3幕1場のテノール、バリトン対決シーンが8日はカットされてしまったことも大きいでしょう。
しかし最大の理由は主役テノールの差です。
8日のマルセロ・アルヴァレスは明らかにトップコンディションではなかった。
それでも彼が1流の資質の持ち主であることは分かりましたが、感動させる一歩手前で惜しくも届かない歌になってしまっていました。
反対に7日の佐野成宏さんは絶好調。
集中力も声の甘美さもテクニックも表現も文句の付けようがない。
3階席までりんりんと鳴り響く美声で緊迫感と真情に満ちあふれた歌を終始一貫して聴かせてくれたのですから。
終幕のテノールの聴かせ場「我が祖先の墓よ」を歌い終わった時の爆発的な拍手喝采も当然と言えましょう。
何しろこのオペラはテノールのソロで締められるので、ここでの印象の差が決定的だったと思います。
そしてここで私が何を言いたいかというとオーケストラです。
東京フィルハーモニー交響楽団でした。
これがとても素晴らしかった。
とにかく管楽器が失敗しない。
艶と深みと厚みのある弦楽器群には感動しました。
なぜこういう演奏がバレエ公演ではなかなか聴けないのでしょうね。
ちょっと違いすぎませんか。
もしかするとバレエ公演には2軍を出している?
オペラにはやる気を出してもバレエにはその気がない?
多分その両方かも。
15日は同じオーケストラが同じ劇場でピットに入るわけですが、結果はいかに。
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「ライモンダ」公演の前に(3)
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月15日(金)01時23分43秒
小林紀子バレエ・シアター
「レ・ランデヴー」
「ソワレ・ミュージカル」
「ライモンダ」第3幕
7月30、31日
再演となる「レ・ランデヴー」はアシュトン・バレエのエッセンス満載でやはり楽しい。
プリンシパル・ガールは大和雅美さんも立派だったが、高橋怜子さんの美しいバレエも見事。
ケネス・マクミランがロイヤル・バレエ・スクールのために振り付けた「ソワレ・ミュージカル」は今回が日本初演にして完全な形での再演もこれが世界初という貴重な公演。
当時のスクールには熊川哲也さんを始め踊れるダンサーがそろっていたために技術的には相当難しい振り付けになっています。
ああ、ここが多分熊川さん用なんだなと思いながら見るのも楽しいものでした。
この作品が今回最も力が入っていたようで、上演も優れた出来でした。
開幕早々に見事な開脚ジャンプを見せる冨川祐樹さん。
大森結城さんのスケールの大きい存在感は早く彼女の主役全幕を見たいとあらためて思わせるもの。
斉藤美絵子さんも大森さんほどのスケールはないものの12分に魅力的。
そして群舞の楽しさは2度見ただけでは物足りません。
マクミランの1幕物における群舞が非常に優れていることはこの作品のみならず「コンチェルト」や「ソリテイル」でも明らかですが、それだけになぜ「ロメオとジュリエット」の群舞がああもつまらないのか不思議です。
ただ、30日には男性4人の踊りだったパートが31日には何の表示もないまま男性2人の踊りになっていたのは不可解でした。
そして「ライモンダ」第3幕。
今回の島添亮子さんは華やかさに欠けていたことは正直否めない。
しかし彼女のテクニックは古典バレエの踊り手として完璧だと思います。
どんな時も曖昧になることのないクリアーな輪郭とそれを支える静謐なパワーがソロとコーダで真価を発揮しました。
特にコーダ!
ライモンダが登場し、ゆっくりとしたテンポで片足づつトウで立ってはバランスを保ちながら進み出てくる場面。
全く軸のぶれない凛とした姿でその単純なステップを繰り返していくだけで圧倒的な迫力が生まれでて来るのです。
全身総毛立つほどに素晴らしかった。
これを見てしまった後ではダンスの輪郭が茫洋としているザハロワには辛くならざるを得ません。
彼女の踊りの輪郭が結局恵まれた肉体の輪郭でしかないのに対し、島添さんのそれは肉体を超えたバレエの輪郭になり得ているためにこの差が生じるのだと思います。
しかし今回の公演でも日本のバレエ団を見る時の私の最大の不満は癒されませんでした。
民族舞踊、キャラクター・ダンスの弱さです。
個人として優れたものを見せる人はいても群舞としての成功例は稀です。
先にKバレエの「ライモンダ」を見た時もそうでしたが、どうにもこうにも様にならない。
Kバレエは熊川さんが極めて意識的に作品全体への目を行き届かせていると思いますが、それでもキャラクター・ダンスは成功していなかった。
純クラシックからモダンまで相当以上のレベルで踊りこなすことの出来る日本のバレエで、この点が克服されればどんなに素晴らしいことか。
新国立の「ライモンダ」全幕でそれが見られるでしょうか。
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