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「ライモンダ」牧阿佐美版(2)
投稿者:
清水
投稿日:2004年12月31日(金)21時37分16秒
さて、今回の牧阿佐美版でもっとも話題となったアブデラクマンの扱いですが、もし何も知らずにこの版を見たら彼の扱いは「普通」と思われたでしょう。
もともとがマイム役ですし、最も有名な版であるグリゴローヴィチ版と比較しても役の意味合いとしては今回の牧版と大して差はありません。
グリゴローヴィチ版ではスペインの踊りでの派手なソロとその後のダンス・オリエンタルでのライモンダとのパ・ド・ドゥ(これがこの版の最も優れたアイディア)があることで、アブデラクマンが実際に担っているよりもはるかに重大な役のように感じられるだけでしょう。
実際のところ牧さんの「サラセンの端正な騎士」発言や、結局はキャンセルになったゼレンスキー起用ということで「普通でないもの」を予想していたのに、出てきたのが「普通」だったので版自体の評価が低くなってしまったようです。
単なる悪徳商人としか見えないウェストモーランド版のアブデラクマンに比較すれば1幕から登場させるなど役としてははるかに重みが増しているにもかかわらず。
個人的には今回の版はまあまあと思います。
1幕がもっとも良く、2、3幕も魅力的な場面があります。
1幕の素晴らしさはまず振り付けが非常にシンプルなことにあります。
しかもそれが音楽に即していて、必要なだけの変化がついている。
プティパの振り付けはシンプルさにおいて19世紀最後の本作でその頂点に達したようで、3幕のライモンダの有名なソロの振り付けはその精華と言えるかもしれません。
ライモンダと友人たちがそれぞれ腰に手を回しユニゾンで歩むシーンや、夢の場の群舞が絶妙にタイミングをずらして進み出てくるシーンなどはまさに私好み。
もっともこれをシンプル過ぎて退屈という人がいても不思議ではないでしょうが、私の感じる問題点は別に有ります。
それは冒頭でライモンダ、ジャン・ド・ブリエンヌ、アブデラーマンを登場させてしまうことです。
これは3人の物語上での位置を示すのに単純で分かりやすい方法ですが、これではプティパの主役登場までのじらしテクニックが台無しになってしまいます。
「眠れる森の美女」でのプロローグから1幕冒頭マイムと大規模なワルツを経てようやく登場するオーロラほどではないにしろ、満を持してという感じのライモンダ登場のインパクトはほとんどなくなります。
「ライモンダ」牧阿佐美版(1)
投稿者:
清水
投稿日:2004年12月31日(金)21時36分14秒
まずYOGOさんの疑問から。
>・1幕冒頭で序曲をカットして、原曲2の「Scene1」から始めて、ライモンダ、ジャン、アブドラムの関係を説明するマイムを付ける。
これは牧版のオリジナルです。
>・原曲19「Entree-acte」と 20 「2em Tableau Scene8 」を使用し、夢の場面のコール・ドゥ・バレエ及びライモンダとジャンのPDDを振り付けている。
これは申し訳ないですがはっきりしません。
しかしここでジャンの幻影が絵姿から出現し踊るという場面展開はウェストモーランド版と同一です。
>4 Dame blancheは全く登場しない。
ウェストモーランド版も同様に「白の貴婦人」は登場しません。
>5 原曲1幕の27〜29をカットして、この場面でのアブドラムのライモンダへの求婚をカットしている。
ウェストモーランド版も同様に夢の場にアブデラクマン(アブドラム)は登場しません。
>6 3幕にPDDを付け足す。曲は第3幕の「Entre-acte」をこの場面に転用している。
これはウェストモーランド版の振り付けをそのまま使用しています。
ここで訂正。
3幕の振り付けはウェストモーランド版と同一と書きましたが、間違いでした。
ハンガリーの踊りは牧版ではソリスト1組でしたが、ウェストモーランド版ではソリスト2組でした。
マズルカもわずかですが違いがあります。
新国立劇場バレエ「ライモンダ」10月24日(日)
投稿者:
清水
投稿日:2004年12月31日(金)21時31分41秒
最終日はタイトル・ロールの志賀三佐枝さんの凄さにひたすら圧倒されるばかりでした。
4回も見たはずの同じ振り付けが全く違って見えます。
彼女の一挙手一投足によって全ての振り付けがその意味と魅力を次々と明らかにしていくのですから大変な物です。
寺島さん、吉田さん(10月22日)はそれぞれ持ち味を生かした優れた出来でしたが、振り付けを完璧かつ正確に舞台上に展開していたという点では志賀さんが抜きん出ていました。
そして完全な形での牧阿佐美版は志賀さん、寺島さんの日だけだったようです。
吉田さんはほぼ同じでしたが、3幕のコーダソロ部はロイヤル版で踊っていました。
ゲストの日しか見なかった人は極端に言えば今回の版をとやかく言う資格はないでしょう。
ある版の初演者というのはその版の正しい形を踊るものだと思っていたのですが、初演者のくせに正しい版を踊らなかったザハロワはどういうつもりなんでしょうね。
明らかに初演者失格です。
こんな状態で舞台に立たせたスタッフも同じくらい問題です。
書き忘れていましたが、豊川美恵子さんの伯爵夫人が演技も踊りも絶品。
彼女が出ることで舞台が重みを増していました。
素晴らしかったです。
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レス
投稿者:
清水
投稿日:2004年12月31日(金)21時29分32秒
>濃ゆいロイヤルファンさま
レスが遅れましてすいません。
おっしゃる通りロイヤルバレエの来日公演はギエム抜きでも十分に成立すると思います。
特に今回の演目なら必要ないでしょう。
日本の新国立劇場バレエも個人的にはゲストが出ない日の方が優れていることが多いというか、わずかな例外を除いて全ての公演が優れていると私は断言してしまいます。
新国立で新国立メンバーのバレエを見たい私にとって、現在のゲスト偏重は苦々しいものです。
結局全ては集客率だと思います。
どうしてもネームヴァリューのある人が主役の日に集まりますから。
それは公演の出来不出来とは全く関係ないのです。
招聘元としては、正直全日ギエム出演にしたいのが本音でしょう。
シンデレラだって出来れば彼女を出演させたかったと思います。
ギエムはアシュトン版シンデレラを踊ったことはあるのだし。
しかし来年の来日公演は演目自体つまらないですね。
1幕物をどうしてやらないのでしょうか。
これも全幕物が圧倒的に人気のある日本の現状を反映しているのでしょう。
そして、私はどうやら薄くてゆるいどころか、もはやロイヤルバレエファンではなくなってしまったようです。
来年の公演も今のところ見る予定ではありません。
ダウエルは私をバレエに誘い込んだ恩人(その後バレエにつぎ込んだ金額を考えるとかなり複雑)ですが、もうあまり見る気にはなりません。
現在でも彼が素晴らしい舞台を見せてくれることが分かっていても。
ご迷惑でしょうが
投稿者:
濃ゆいロイヤルファン
投稿日:2004年12月 1日(水)16時23分10秒
清水さま
始めまして。
数年前からROMだけはさせて頂いていました。
初めてのカキコで非常に申し訳ないのですが、何卒ここで愚痴らせて下さい。
来年、6年ぶりにロイヤルが来日します。そう度々ロンドンまで見に行くことができないので、とても楽しみにしていました。ところが招聘元のHPを見てガッカリです。
今回もまた「マノン」(と「シンデレラ」)なのですが、なんと東京での6回公演のうち、3回もギエムが踊るのです。(「シンデレラ」は日替わりで、ロイヤルのダンサーが踊ります。)今回はベンジャミンも来るのに、彼女は「マノン」を踊りません。
いったいN○Sは、何を考えているのでしょう。日本のバレエ・ファンは何が何でもギエムを見たがっているとでも思っているのでしょうか。
ギエムはそりゃーもう、しょっちゅう来日しています。まるで日本以外からは殆どオファーが無いのか、それとも日本は破格のギャラを出しているからなのか、等々と憶測したくなるほどに。この上、なにもロイヤルの来日公演にまで出る必要はないでしょう。
彼女は確かにある種の才能あるダンサーです。コンテンポラリーを躍らせたら、それこそ世界最強でしょう。でもロイヤルの作品、雰囲気にあっているかというと甚だ疑問です。
ロイヤルの来日公演はギエム抜きでも成立する、と思うのは私だけでしょうか。日本のバレエ・ファンは、まだそこまで成熟していないのでしょうか。
ロイヤルの来日公演では、ロイヤルのダンサーの踊りを見たいというのは、贅沢な望みなのでしょうか。
今回は東京の3公演のうち、1回だけロッホがマノンを踊ってくれるのが、せめてもの慰めです。彼女のマノンはロンドンで見たことがありますが、私がこれまで見た中で一番<危険>なマノンでした。再見できるのが、とても嬉しく、楽しみです。
追記
投稿者:
清水
投稿日:2004年11月21日(日)00時37分48秒
ルーク・ヘイドン(ドン・キホーテ)、サイモン・ライス(ガマーシュ)、ピエトロ・ペリッチア(サンチョ・パンサ)、ハーベイ・クライン(ロレンツォ)のキャラクター組が見事でした。
ヘイドン、ライスのチャンバラなんて凄いものがみられたのもうれしい。
おまけに主役がキャシディですからね。
薄くてゆるいロイヤルバレエファンの私でさえうれしく思うのですから、私とは比較にならないほど濃ゆいロイヤルファンの方はたまらなかったかと。
Kバレエ「ドン・キホーテ」11月20日
投稿者:
清水
投稿日:2004年11月21日(日)00時27分42秒
どんどん「ライモンダ」が遠くなってしまいますが、今日はこれです。
明日(21日)も見に行きます。
実に楽しかったです。
来年5月に「白鳥」が再演されるようですが、こちらも再演希望です。
プロダクションとしては熊川哲也さんがロイヤル時代に踊っているバリシニコフ版を思わせるところが多々ありますが、オリジナルな部分もあります。
3日に書いた通り、ドルシネアはマイム役でした。
これはバリシニコフ版を踏襲しています。
全体がとてつもなくスピーディーで、特に1幕のキトリは休む間がなくて相当大変でしょう。
キトリの康村和恵さんはちょっと身体が柔らかすぎるようですが、一部を除いて十分にコントロールされていて好演。
スチュアート・キャシディは艶と華があり、演技も良くてなかなか見事でした。
群舞のパワーと精密度は東京バレエ団に正直一歩譲ると言わざるを得ませんが、一人一人の技術は高く、全体の雰囲気作りと表情付け(これは熊川さんの指導もあるでしょうが)も良かったです。
夢の場での女性ソリスト、群舞のチュチュが非常に私好み。
満天の星空のセット(森の女王とドリアードという設定からするとちょっと問題)とともに非常に美しかった。
音楽、照明、装置、演出、全てにはっきりとした意志が感じられるのが何よりも素晴らしい。
今更無理でしょうが、熊川さんが新国立の監督になっていればあんな酷い(個人的には世界最低レベルの)キーロフバレエプロダクションばかりには少なくともならなかっただろうに。
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少し書き込み
投稿者:
清水
投稿日:2004年11月 3日(水)21時36分50秒
本日は当日券があればKバレエの初日に大宮に行く予定でしたが、もうS席しかないということであきらめました。
配役だけ見てきたのですが、未定だったキトリは荒井祐子さん。
ドン・キホーテはルーク・ヘイドン、ガマーシュはサイモン・ライスとなっていました。
面白いのはドルネシア役として独立に配役がされていたことで、もしかするとバリシニコフ版のようにマイム役として登場するのでしょうか。
21日渋谷はチケット入手済み。
20日、19日もなんとか行ければいいのですが。
牧阿佐美バレエ団「リーズの結婚(ラ・フィーユ・マル・ガルデ)」10月30日昼公演
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月31日(日)18時13分41秒
新国立「ライモンダ」最終日と版についてはもうちょっと後にして、昨日はアシュトンの傑作バレエを見に行ってまいりました。
指揮のテンポが遅すぎて活力が全くないのは致命的でしたが、ソリストはいずれも非常に好演。
佐藤朱実さん、相羽源氏さんのペアはもう見ているこちらが「いいがげんにしろ」と言いたくなるほどのラブラブぶり。
リボンのパ・ド・ドゥが見事な出来でした。
キー・ロールのアランはゲストのオリバー・ハルコヴィッチ。
まだ若いようでしたがはじけるような踊りと初々しい演技はなかなか。
シモーヌ母さんは保坂アントン慶さん。
こちらもまだまだ若いので、今まで見たシモーヌでは最も「踊る」シモーヌになっていて見応え十分。
演技も優れていました。
この陣容にアランの父親トーマスを幾度も演じている本多実男さんが加わってアンサンブルが極めて良かったです。
そしておんどりが何と小嶋直也さん。
信じられないほど美しい足さばきと跳躍の軽やかさ、ラインの明確さで世界最高のおんどりでしょうが、これは本来の意味で彼には役不足。
贅沢な配役で、久しぶりに彼を見られてうれしかったことは確かですが。
それにしても何度見てもこの作品の素晴らしさには感心するほかありません。
プログラムにアシュトンのバレエに対するエドウィン・デンビーによる以下の見解をこの作品が最も明確に例証しているとありますが、私も同感です。
「テーマがありふれていればいるほど、アシュトンによるそのテーマの詩的な捉え方はいよいよ深く美しい」
新国立劇場バレエ「ライモンダ」全幕2004年10月23日
投稿者:
清水
投稿日:2004年10月24日(日)00時27分35秒
これこそ真の初日にふさわしい公演でした。
寺島ひろみさんは見事な主役デビュー。
長い手足がごくまともに美しく輝いていました。
(どこぞの手足だけは長かった初演者がいかにだめだったかがあらためて分かります)
2幕のソロがまず完璧な出来。
他場面も申し分なく美しく、表現もまだふくらみには乏しいのですが十分に観客にライモンダの思いが伝わってきていたと思います。
森田健太郎さんは風格とパワー、決めのポーズの並外れた美しさがいつもながら素晴らしい。
2幕でアブデラクマンと渡り合う演技も見事。
ただやはり彼にはもっと経験のある相手を組んで踊るところが見たい。
彼のパートナーとしての能力が評価されてのことだとは分かっているのですが、もう一度酒井はなさんと組んでこんどは古典を踊ってもらえないものか。
山本隆之さんは優れた踊り手ですし好きですが、酒井さんとの組み合わせよりも湯川麻美子さん(「こうもり」)や高山優さん(「4つの最後の歌」)と組んだ時の方がはるかに大きな成果を挙げていたと思うので。
組み合わせと言えば、友人ペアも23日が最もしっくりしていたと思います。
真忠久美子さん、西山裕子さんはソロも見事、寺島さんとのからみも実に自然で上演の奥行きを深めていました。
マイレン・トレウバエフは安定した出来。
冨川祐樹さんは2幕で見せた連続跳躍が実に凄かった。
もう少し表情が豊かになれば古典主役でも十分こなせる力量です。
彼は16日も良かったのですが、17日にはおとなしかったのはやはり3連続の疲れだったのでしょう。
23日は文句無しでした。
24日最終日も今日に劣らず楽しみなキャスト。
結局15日以外は皆勤となりました。
(補足1)
またも振り付けが変わっていました。
ライモンダの3幕ソロとグラン・コーダのソロ部分。
例の初演者とも吉田さんとも違います。
もう何が何やら。
(補足2)
今回の公演には関係ないのですが、昨年末12月23日の「こうもり」が資料室で見られるようになっていました。
マクミランやバランシンは見られないのであきらめていたのですが、うれしい驚き。
キャストは湯川麻美子さんのベラ、山本隆之さんのヨハン、吉本泰久さんのウルリック。
時間がなく少し見ただけですが、やはり面白い。
出演者のうまさもこうしてアップで見るとさらに際立ちます。
特に吉本さんは凄いですが、湯川さん、山本さんも素晴らしい。
ただカット割りがちょっと不満(ヨハンが飛び立つところはアップでなくロングで見たいのに)なのと、黒の服で黒の背景のため踊りがよく見えない場面があるところです。
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